yummydance|放課後等デイサービスでのアウトリーチ
2024年11月23日(土)
放課後等デイサービス ウィズ・ユー丸亀、ありす児童デイサービス
ダンサー:yummydance(合田緑、高橋砂織、得居幸)
愛媛県松山市を拠点に国内外で活躍する、コンテンポラリーダンスカンパニー「yummydance(ヤミーダンス)」が、11月18日から24日にかけて丸亀市内に滞在し、市内の福祉施設、小学校、コミュニティセンター各所で行ったワークショップ。
滞在6日目の23日は、ヤミーダンスメンバーの合田緑さん、高橋砂織さん、得居幸さんが、放課後等デイサービス事業所の「ウィズ・ユー丸亀」と「ありす児童デイサービス」を訪れました。
両事業所では、障害のある子どもの発達に応じて必要なサポートを行っています。
学校との連携などを図りながら学習指導を行うとともに、子どもたちの将来の自立や地域生活を見据え、日常生活に必要な動作の指導や、社会生活に必要なコミュニケーション力や自己肯定感を育むためのプログラムを提供しています。
その一環として、子どもたちの豊かな感性を養うための創作活動、子どもが自分自身の「好き」や「リラックス」を見つけることができる時間として余暇の提供も行っています。
今回の両事業所でのワークショップは、身体を自由に使ってアーティストや友達とコミュニケーションを楽しむことを通じ、子どもたちの豊かな感性や自己肯定感を育む機会として開催しました。
ウィズ・ユー丸亀でのワークショップ
ウィズ・ユー丸亀では、放課後等デイサービスを利用する子どもたちを中心に、就学前の児童発達支援を受けている子どもたち数名も一緒に、14名が参加しました。
ヤミーダンスのメンバーがそれぞれ「みどちゃん」「さおりん」「みゆぽん」の名前で自己紹介。音楽に合わせて「何に見えるかな?」と声をかけながら、即興でダンスを披露することからワークが始まりました。

はじめ子どもたちは興味がありつつも様子をうかがっているようでしたが、ダンスの面白い動きに笑ったり、ヤミーダンスの声かけに「お魚に見えた!」と答えるなど、少しずつ気持ちがほぐれていった様子。
その後、「みどちゃんトンネル!さおりんトンネル!みゆぽんトンネル!」というヤミーダンスの一声で、「トンネルをくぐろう」のワークが始まりました。子どもたちはヤミーダンスが色々な姿勢で作ったトンネルをくぐっていきます。トンネルの形や大きさがどんどん変化し、低いトンネルや小さいトンネルをすり抜けるスリルに、会場の空気が盛り上がっていきました。子どもたちそれぞれの名前がついた「〇〇トンネル!」も現れ、会場全体が笑い声で溢れました。

トンネルくぐりの後、みんなで会場の端に集まり、手や足など身体の好きなところで一人ずつつながっていき、集まった反対側の端まで行くワーク。
子どもたちは「身体のどの部分でつながろうかな」と思い思いに考え、時には友達やヤミーダンスメンバーと話し合ったりしながら、自分のつながるかたちを決めていきました。」
子どもたちが自分のつながり方を見つけるたびに、ヤミーダンスメンバーが「いいね!」「そのかたち面白いね!」と声をかけます。

最後のワークは「もう一度身体の好きな部分でヤミーダンスや友達とつながり、自由に動いてみよう!」というもの。子どもたちは一連のワークで思い思いにつながる楽しさを感じたようで、ヤミーダンスメンバーや友達とつながって、みんなの動きを感じながら身体でコミュニケーションする時間を思いっきり楽しんでいるようでした。

ありす児童デイサービスでのワークショップ
ありす児童デイサービスでは、子どもたち16名と職員さんが一緒に参加しました。
事前に職員さんから「今日は特別なダンスの時間」があることを聞いていた子どもたちは心待ちにしていた様子で、ワークの開始前からヤミーダンスメンバーに興味津々。
子どもたちへの挨拶として、音楽に合わせてヤミーダンスが即興で踊る「何に見えるかなダンス」では、「魚!」「ヘビ!」「ニャンコみたい!」と、たくさんの生き物たちの名前や笑い声が上がります。ダンスが終わると子どもたちから大きな拍手。

その後、一人ずつみんなの輪の真ん中に行って、自由に踊って誰かにタッチ、タッチされた人がまた輪の中で自由に踊ってまた誰かにタッチするというワークでは、ヤミーダンスの自由な踊りに触発された子どもたちの個性溢れるダンスが生まれていました。

「真ん中にいる友達の動きや気配に集中して、みんなで真似をしよう」とヤミーダンスの合田さん。子どもたちが入れ替わり輪の真ん中に行き、思い思いの動きやポーズをとります。
友達の意外で面白い動きやポーズに笑い声をあげる子どもたち。真ん中でポーズをとる子も、みんなが自分の動きに集中して真似する姿が新鮮で、とても楽しそうな様子でした。

最後は、「みんな、みどちゃんの動きに合わせてみよう!」とヤミーダンスのメンバー。子どもたちが真似をしはじめると、リズミカルな音楽が流れ始めます。音楽が進むにつれて、子どもたちの動きはだんだんと大きくなり、まるで群舞のように。みどちゃんが次々と新しい動きを繰り出すと、子どもたちがそれに続き、会場いっぱいに子どもたちのダンスが繰り広げられました。

ワークショップを終えた後、職員さんから「また来てくださいね」とのお声がけとともに、多くの感想をいただきました。
ウィズ・ユー丸亀さんから(一部抜粋)
- いつもの集団プログラムではなかなか見られない一体感がありました。アーティストの方々がみんなの意欲を上手く引き出してくれて、同じ空間で過ごすことが難しい子たちも最後まで笑顔で取り組めたのが、職員一同驚きです。
- プログラムが終わった後のお友達はとてもすっきりとした様子で、気持ちの開放が行われたのかなと感じました。年齢の低い自閉傾向の子もすっかり入り込んでいました
- 自主的に『ダンスの先生また来てくれるん?』と言ってくれた事や、意外な創造力があることを保護者の方に伝えられることが嬉しいです。
ありす児童デイサービスさんから(一部抜粋)
- 普段は各々で過ごしている子どもたちが、ダンスという同じことを通して共に触れ合い共に楽しむ姿を見た。そういうことは普段はないことで、とても印象的でした。
- 普段自分をアピールしない子が自由に体を動かし楽しそうにしていた。恥ずかしそうにもじもじしていた子も、ダンサーの方々のあたたかい対応に心がほぐれた様子が見られました。
- 障害の幅が広く、普段の行事設定を悩むところだが、今回のワークショップは関係なく全員が何かしらの形で参加し楽しむことが出来た。どの子も嫌な気持ちにさせることなく自己表現できており、どんな表現をしても否定せずすべて肯定し、笑顔が多く見ることができてよかったです。